クリニックがサイバー攻撃を受けると、診療停止という直接被害に加え、Googleビジネスプロフィールの口コミ評価が下がる風評被害という二重ダメージが生じます。被害範囲の確認、患者への影響整理、GBP・ホームページでの告知、問い合わせ窓口の明示という4ステップの初動対応が、集患へのダメージを最小限に抑える鍵になります。
※ 2026年9月時点の情報です。サイバーセキュリティを取り巻く状況は変化するため、対策の実施前に最新の公的情報もあわせて確認してください。
この記事でわかること
- 医療機関の実際のサイバー攻撃事例
- 攻撃が集患に与える影響
- 初動対応でやるべき情報発信の順番
- 中小クリニックが取り組みやすい基本対策
サイバー攻撃は診療停止と風評被害の二重ダメージ
クリニックがサイバー攻撃を受けたときの被害は、診療そのものが止まる直接被害と、集患力が落ちる風評被害の2つに分かれます。多くの医院がシステムの復旧にばかり意識を向けがちですが、集患への影響は復旧後も長く尾を引くことがあります。
私たちはMEO運用サービス「G-ran」で通算3,200店舗以上を運用してきました。その経験から見ても、経営上のトラブルが起きたときにGoogleビジネスプロフィールや口コミへの対応が後回しになる医院は少なくありません。システムの復旧に人員を割かれる分、情報発信まで手が回らないのは自然なことですが、その空白期間が風評被害を広げてしまいます。
医療機関の実際のサイバー攻撃事例2つ
つるぎ町立半田病院と大阪急性期・総合医療センターの2つの事例は、被害の規模と復旧の長期化を示す代表例です。どちらも診療体制に大きな影響が出た事例として知られています。
トレンドマイクロによる病院ランサムウェア被害の分析によると、つるぎ町立半田病院は2021年10月31日にランサムウェア感染により電子カルテが停止し、紙カルテ運用への切り替えを余儀なくされました。診療の継続には大きな支障が生じ、通常の運用に戻るまで時間がかかりました。
大阪急性期・総合医療センターでは2022年10月31日、給食事業者のシステムを経由してランサムウェアに感染し、基幹システムの停止が発生しました。救急診療・外来診療・予定手術のすべてが影響を受け、復旧までに数十日単位の期間を要しました。規模の大きい病院でもこれだけの影響が出ることは、中小クリニックにとっても他人事ではありません。
| 事例 | 発生日 | 主な原因 | 影響 |
|---|---|---|---|
| つるぎ町立半田病院 | 2021年10月31日 | ランサムウェア感染 | 電子カルテ停止、紙カルテ運用へ切替 |
| 大阪急性期・総合医療センター | 2022年10月31日 | 委託先経由の侵入 | 基幹システム停止、診療全般に影響 |
2つの事例に共通するのは、自院のシステムだけでなく、委託先や連携先を経由して被害が広がった点です。給食事業者のような直接医療に関わらない業者のシステムが侵入経路になるケースもあるため、自院の対策だけで安心はできません。委託先を選ぶ際にも、セキュリティ体制を確認する視点が必要になっています。
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AI検索対策の無料相談はこちらサイバー攻撃が集患に与える3つの影響
診療の縮小、口コミ評価の低下、新規予約の減少という3つが、サイバー攻撃が集患に与える主な影響です。この3つは連鎖して起こるため、どこか1つを止めれば済むわけではありません。
第一に、診療の縮小です。システムが使えない期間は、予約管理や会計処理も手作業に切り替わり、通常より対応できる患者数が減ります。会計に時間がかかれば待合室が混雑し、それ自体が新たな不満の原因にもなります。
第二に、口コミ評価の低下です。予約が取りにくい、対応が遅いといった不満は、患者が事情を知らないままGoogleの口コミに反映されてしまうことがあります。攻撃の影響だと患者に伝わっていなければ、単なる医院側の不手際として評価されかねません。
第三に、新規予約の減少です。初めて受診しようとする患者の多くは、来院前にGoogleマップの口コミを確認して受診の可否を判断します。低評価の口コミが目立つ状態が続くと、技術力とは無関係に選ばれにくくなるという構造があります。
患者は検索とAI回答経由で状況を知ろうとする
攻撃の発生を知った患者や地域住民の多くは、まず「クリニック名 サイバー攻撃」のような検索や、AIチャットへの質問で状況を確認しようとします。医院からの正式な発信より先に、こうした検索行動が起きることを前提に準備しておく必要があります。
検索結果に医院公式の説明が出てこない状態が続くと、ニュース記事や憶測を含むSNS投稿が上位に表示され続けることがあります。ホームページやGBPに正確な情報を早く掲載しておけば、検索やAI回答が参照する情報源として医院公式の説明が拾われやすくなります。
「情報がない」状態を放置することが、結果的に不正確な情報の拡散を許してしまうという構造は、通常の風評対策と同じです。攻撃を受けた直後こそ、検索経由で情報を探す患者を意識した発信が必要になります。日頃からGBPやホームページを更新し続けている医院ほど、緊急時の発信も違和感なく届きやすくなります。
攻撃を受けた直後にすべき情報発信の順番
被害範囲の確認、患者への影響整理、GBP・HPでの告知、問い合わせ窓口の明示という4ステップの順番で動くと、混乱を最小限に抑えられます。順番を飛ばして告知を急ぐと、不正確な情報を発信してしまうリスクがあります。

ステップ1: 被害範囲を確認する
まず、どのシステムがどこまで影響を受けているかを確認します。憶測で範囲を広げても狭めても、後で訂正が必要になり信頼を損ねます。
ステップ2: 患者への影響を整理する
診療の可否・予約への影響・会計方法の変更など、患者が知りたい情報を整理します。専門的な技術情報より、患者の生活に直結する情報を優先してください。
ステップ3: GBP・HPで告知する
Googleビジネスプロフィールの投稿機能とホームページのお知らせ欄を使い、整理した内容を告知します。同じ内容を複数の場所で発信しておくと、患者がどこを見ても同じ情報にたどり着けます。
ステップ4: 問い合わせ窓口を明示する
電話が集中しやすいタイミングのため、問い合わせ方法や対応可能な時間帯もあわせて明示しておくと、現場の混乱を減らせます。
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沈黙は最悪の選択、早期発信が信頼を守る
情報発信を後回しにする沈黙は、噂やSNSでの拡散を招き、結果的に最も評判を落とす選択になります。早期に医院側から正確な情報を出すほうが、患者の不安を鎮めやすくなります。

全容解明を待ってから発表しようとすると、その間に患者や地域住民の間で不確かな情報が広がってしまいます。分かっている範囲だけでも先に発信し、続報は追って知らせる形にしてください。
復旧後に集患を立て直す3ステップ
通常診療の再開告知、口コミへの丁寧な返信、新規患者向けの情報更新という3ステップで、復旧後の集患は立て直せます。復旧して終わりではなく、その後の対応まで見据えておく必要があります。
システムが復旧したら、まず通常診療に戻ったことをGBPとホームページの両方で告知します。次に、攻撃期間中についた低評価の口コミに、事情を丁寧に説明しながら返信します。感情的にならず、事実と対応内容を淡々と伝えることがポイントです。
新規患者向けには、ホームページのお知らせを更新し、現在は通常どおり診療していることを明示します。私も、システムトラブルを経験した医院が、経緯を丁寧に説明する投稿を続けたことで、徐々に口コミの評価が持ち直したという話を聞いたことがあります。
口コミへの返信は、1件対応して終わりにせず、継続して目を通す体制を作っておくことが重要です。攻撃発生から数か月経ってから当時の不満を書き込む患者もいるため、復旧直後だけでなく、しばらくの間は返信対応の優先度を上げておく必要があります。ホームページのお知らせも、状況が落ち着いた後に「復旧しました」で終わらせず、再発防止に向けて取り組んでいる内容を簡潔に添えておくと、患者の安心材料になります。
中小クリニックが取り組みやすい基本対策
機器・アカウント台帳の整備、不要なIDの削除、二要素認証の導入、オフラインバックアップ、スタッフ研修の5つが、専任担当者がいなくても始められる基本対策です。すべてを一度に行う必要はなく、優先順位をつけて着手できます。

中小クリニック向けセキュリティ対策の解説では、専任担当者が不在で運用が属人化しやすい点が中小クリニック特有の課題として指摘されています。技術的な対策だけでなく、誰が何を管理しているかを見える化する運用ルールの整備が土台になります。
5つの対策は、優先度の高いものから順に着手するのが現実的です。まず機器・アカウント台帳を整備して「何がどこにあるか」を把握し、そのうえで不要なIDを削除すると、攻撃者が悪用できる入口を減らせます。二要素認証の導入は、ID・パスワードが漏れた場合でも不正ログインを防ぐ効果があり、比較的低コストで始められる対策です。
オフラインでのバックアップは、システムが暗号化された場合でも診療データを復元できる最後の砦になります。バックアップを取っていても、同じネットワーク上に保存していては攻撃時に一緒に暗号化されてしまうため、オフラインでの保管が欠かせません。最後のスタッフ研修は、不審なメールを開かない・パスワードを使い回さないといった基本を、院内全体で共有する機会になります。
よくある質問
クリニックはなぜサイバー攻撃の対象になりますか?
電子カルテなど患者情報を扱うシステムが、攻撃者にとって価値ある標的になるためです。
サイバー攻撃は集患にどう影響しますか?
診療停止に加え、Googleビジネスプロフィールの口コミ評価が下がり集患が落ちます。
攻撃を受けた直後に何をすべきですか?
被害範囲を確認し、患者への影響を整理してからGBPやHPで告知します。
情報発信が遅れるとどうなりますか?
SNSや口コミで先に噂が広がり、患者の不安と問い合わせの集中を招きます。
中小クリニックでも取り組める対策はありますか?
機器台帳の整備や二要素認証など、専任担当者がいなくてもできる対策があります。
万が一の際の情報発信・集患の立て直しについて、無料でご相談いただけます。
AI検索対策の無料相談はこちらクリニックの集患づくりの基本はクリニックの集客事例5選|成功パターンと始め方、Googleビジネスプロフィールの運用はクリニックのMEO対策とは?集患につながる5つの手順で解説しています。
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まとめ: 復旧と同じ優先度で情報発信に取り組む
クリニックのサイバー攻撃対策は、システムの復旧だけでなく、Googleビジネスプロフィールや口コミへの情報発信を同じ優先度で進めることが、集患を守る鍵になります。被害範囲の確認から問い合わせ窓口の明示まで、4ステップの初動対応を事前に頭に入れておくだけでも、いざというときの対応スピードが変わります。
沈黙は最も避けるべき選択です。分かっている範囲だけでも早めに発信し、復旧後は口コミへの丁寧な返信を根気よく続けることで、いったん失った評価も少しずつ取り戻していけます。専任の担当者がいない医院でも、機器台帳の整備や二要素認証など、今日から始められる対策があります。備えと発信の両方を、落ち着いている平時のうちから少しずつ検討しておいてください。
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