歯科医院の閉院費用とは、原状回復・医療機器処分・行政手続き・カルテ保管に加え、Googleビジネスプロフィールなどデジタル資産の後始末までを含めた総費用です。
MEO運用サービス「G-ran」で通算3,200店舗以上を運用してきました。閉院を控えた歯科医院の院長から、「ホームページやマップの情報はどうすればいいか」という相談が増えています。本記事では、費用の内訳から見落とされがちなデジタル資産の後始末まで、実務の視点で解説します。
※ 2026年9月時点の情報です。
この記事でわかること
- 歯科医院の閉院費用の内訳と相場
- 閉院準備の基本5ステップと届出期限
- 見落とされがちなデジタル資産の後始末費用
- Googleビジネスプロフィールを放置するリスクとAI検索への影響
歯科医院の閉院費用とは?
歯科医院の閉院費用とは、原状回復・機器処分・行政手続き・デジタル資産の後始末を合わせた総費用です。
費用の目安については、歯科医院の開業費用は5000万円?内訳と抑え方にまとめています。
閉院費用は、テナントの原状回復や医療機器の処分といった「目に見える費用」だけで語られがちです。しかし実際には、行政への届出やカルテの保管、Googleビジネスプロフィールの後始末といった「手続き系の費用」も無視できません。特にデジタル資産の後始末は、金額こそ小さいものの、対応を誤ると閉院後のトラブルに直結します。
次章から、それぞれの費用項目を順番に見ていきます。歯科医院に特有の集患チャネルであるMEO・AI検索の視点は、後半の章で詳しく解説します。
歯科医院の閉院準備 基本5ステップ
歯科医院の閉院準備は、方針決定から告知・届出・資産処分・デジタル資産の整理まで5段階で進めます。

ステップ1: 廃業か承継かの方針を決める
まず、完全に診療をやめる「廃業」か、他の歯科医師に引き継ぐ「承継」かを決めます。承継については本記事の後半で比較します。
ステップ2: スタッフと患者へ告知する
スタッフには労働基準法に基づく解雇予告が必要です。患者には、他院への引き継ぎ方法とあわせて掲示・案内を行います。
告知のタイミングは、廃止届の提出よりも先に動くケースが一般的です。患者さんの転院先探しには時間がかかるため、通院中の患者さんが多い歯科医院ほど、余裕を持ったスケジュールで告知することをおすすめします。
ステップ3: 廃止届を保健所へ提出する
大阪市「診療所の廃止、休止、再開等の手続き」によると、診療所の廃止は医療法第9条第1項に基づき、廃止後10日以内に管轄の保健所へ届け出る必要があります。届出を怠ると、廃業後も診療所として台帳に残り続けてしまいます。
ステップ4: 医療機器・内装の処分と原状回復を進める
医療機器の処分、産業廃棄物の処理、テナントの原状回復工事を進めます。次章で費用の相場を紹介します。
ステップ5: デジタル資産を閉じる
ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SNSの後始末です。ここが最も見落とされやすいステップで、詳しくは後半の章で解説します。
自院の閉院準備、何から手をつければよいか整理しませんか。
AI検索対策の無料相談はこちら歯科医院の閉院費用の内訳と相場
歯科医院の閉院費用は原状回復と医療機器処分が中心で、廃業コストが1,000万円を超えた例が報告されています。
歯科経営メディア「あきばれ歯科経営online」では、廃業にかかるコストが1,000万円以上に及ぶケースがあると報告されています。内訳は、テナントの原状回復・医療機器のリース解約・医薬用品の処分・借入金の精算が中心です。
| 費用項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 原状回復工事 | 内装・給排水・電気・スケルトン化 | テナント規模による |
| 医療機器処分 | ユニット・レントゲン等の処分・リース解約 | 機器数による |
| 廃棄物処理 | 医薬品・感染性廃棄物の専門処分 | 数万円〜 |
| 行政手続き | 廃止届・保険医療機関の廃止手続き | 実費中心 |
| スタッフ対応 | 解雇予告・退職金 | 就業規則による |
| デジタル資産 | GBP・HP・SNSの後始末 | 数千円〜(次章で解説) |
同記事では、代表者について60歳以上の構成比が58.6%という数字も紹介されています。高齢化に伴う閉院は、今後さらに増える見込みです。
廃棄物処理は、一般ごみとして出せない項目が多いのも歯科医院特有の事情です。アマルガムや使用済み薬剤、レントゲンの現像液などは産業廃棄物処理業者への委託が必要で、自己判断での廃棄はできません。委託先は原状回復業者が手配してくれることが多いため、見積もり段階でまとめて確認すると手間が減ります。
私たちがG-ranの支援現場で見てきた閉院予定の歯科医院は、原状回復や機器処分の見積もりは早めに取ります。しかし表の最後にあるデジタル資産の項目は、後回しにされがちです。金額が小さいからこそ、優先順位が下がってしまうのです。
カルテ(診療録)の保存義務と保存費用
診療録(カルテ)は歯科医師法第23条により5年間の保存義務があり、保管方法が保存費用を左右します。
厚生労働省「歯科医師法」第23条では、歯科医師の診療に関する診療録を5年間保存しなければならないと定められています。診療録以外の帳簿・書類は3年間、麻薬帳簿は2年間の保存が求められます。
保管方法は、自宅保管・貸倉庫・電子化の3択が一般的です。歯科医院はレントゲン画像や技工指示書など紙資料が多く、他の診療科より保管スペースを圧迫しやすい傾向があります。早めに方針を決め、必要であれば電子化業者に見積もりを依頼してください。
| 保管方法 | 特徴 | 費用感 |
|---|---|---|
| 自宅保管 | 費用は抑えられるが保管場所を圧迫する | ほぼ無料 |
| 貸倉庫 | 場所を取らないが月額費用が継続する | 月数千円〜 |
| 電子化(スキャン) | 検索性が高く5年経過後の廃棄も容易 | 初期費用中心 |
保存義務のある期間中にカルテを廃棄してしまうのは避けなければなりません。閉院を決めた段階で、保管方法とその費用を先に決めておくことをおすすめします。
ここまでの内容を、自社に当てはめて確認しませんか。
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閉院で見落としやすい3つのデジタル資産
Googleビジネスプロフィールなどデジタル資産の後始末は、費用が小さい分だけ見落とされやすい項目です。

1つ目はGoogleビジネスプロフィールです。次章で手順を詳しく解説します。
2つ目は公式ホームページと予約システムです。予約システムを稼働させたままにすると、閉院後も予約が入り続けてしまいます。ドメインの契約更新費用も、閉院後は無駄なコストになります。
3つ目はSNS・口コミサイトの投稿です。InstagramやXのアカウント、歯科ポータルサイトの掲載ページも、放置すると古い診療時間や電話番号が残り続けます。
これら3つに共通するのは、「対応しなくても誰かに怒られるわけではない」ため、優先順位が上がりにくいという点です。しかし対応を怠ると、次章で説明するトラブルにつながります。
Googleビジネスプロフィールを放置するリスクとAI検索への影響
閉業マークを付けないまま放置すると、AI検索が営業中と誤案内し来院トラブルにつながります。
Google公式ヘルプ「ビジネスに閉業マークを付ける」によると、プロフィールを編集し「閉業」を選択して保存するだけで手続きは完了します。削除するより先に、この閉業マークを付けることが推奨されています。

プロフィールが「営業中」のまま残ると、Googleマップだけでなく、AI Overviewや対話型AIの回答も営業中の情報を引用し続けます。実際に来院した患者さんが空のテナントを目の当たりにする、というトラブルにつながりかねません。
私も支援先の歯科医院で、承継先が決まっていたにもかかわらず旧プロフィールが「営業中」のまま半年近く残っていた例を見てきました。旧医院への問い合わせが続き、閉業マークを付けるだけで防げたトラブルでした。
当社は自社サイトをAIO対策の実験場にしています。構造化データ・llms.txt・主要AIクローラー20種の許可を実装したうえで、引用状況を日々計測しています。この経験から言えるのは、AI検索は複数の情報源を突き合わせて回答を作るという点です。
片方だけ「閉業」にしても、もう片方が「営業中」のままだと矛盾した案内をしてしまいます。ホームページ・SNS・ポータルサイトの表記も、同じタイミングで揃えて更新してください。
ChatGPTやPerplexityのようなAI検索は、Googleマップの閉業マークとは別の速度で情報を更新します。Googleビジネスプロフィールを閉業にしても、AIチャット側の回答がすぐに切り替わるとは限りません。反映までにタイムラグが出ることを見込んで、可能であれば数週間前倒しで手続きを済ませておくと安心です。
歯科医院の集患そのものについては歯科医院の集客方法とは?新患を増やす5つの基本施策で解説していますが、歯科 AI 集客の観点は、開業中だけでなく閉院時の情報整理にも関わってきます。
承継予定の歯科医院のデジタル資産整理も、無料でご相談いただけます。
AI検索対策の無料相談はこちら閉院前に検討したい承継という選択肢
閉院ではなく承継を選べば、原状回復や廃棄物処分の費用の多くを削減できます。
承継とは、医院を廃業せず、後継となる歯科医師に引き継ぐ方法です。内装や医療機器をそのまま使ってもらえれば、原状回復工事や機器処分の費用が発生しません。
| 比較項目 | 閉院(廃業) | 承継 |
|---|---|---|
| 原状回復費用 | 発生する | 交渉次第で圧縮できる |
| 医療機器 | 処分費用が発生 | 引き継げば処分不要 |
| 患者引き継ぎ | 他院への案内が必要 | 継続して通院可能 |
| デジタル資産 | 閉業マーク等で終了処理 | 名義変更で継続活用できる |
承継の場合、Googleビジネスプロフィールも削除せず名義変更や情報更新で引き継げるため、これまで積み上げてきた口コミやAI検索での認知が失われません。承継先を探す時間的な余裕があるなら、検討する価値のある選択肢です。
承継先探しには、知人の歯科医師への直接打診のほか、事業承継・M&A仲介会社を使う方法もあります。仲介を使う場合は成功報酬が別途発生しますが、廃業した場合の原状回復・機器処分費用と比較して総額で判断することをおすすめします。判断に迷う場合は、早い段階で税理士や仲介会社に概算を相談しておくと、閉院と承継のどちらが得か具体的な数字で比較できます。
医療機関全体のMEO運用の基本は医療機関のMEO対策、歯科医院に特化した運用は歯科医院のMEO対策で解説しています。承継後の新体制でMEOを立て直す際にも、あわせてご確認ください。
よくある質問
歯科医院の閉院費用の相場はどれくらいですか?
原状回復や機器処分が中心で、廃業コストが1,000万円を超えた例が報告されています。
閉院の届出はいつまでに提出すればいいですか?
医療法第9条により、診療所廃止届は閉院から10日以内に保健所へ提出します。
カルテはどのくらいの期間保存する必要がありますか?
診療録は歯科医師法第23条により5年間、その他の帳簿・書類は3年間の保存義務があります。
Googleビジネスプロフィールは閉院したらどうすればいいですか?
削除する前に閉業マークを付け、誤来店や誤った情報拡散を防いでから手続きを進めます。
閉業マークを付け忘れるとどうなりますか?
営業中の情報が残り続け、AI検索やマップが誤って来院を案内するおそれがあります。
閉院と承継はどちらが費用を抑えられますか?
一般的に承継のほうが、原状回復や廃棄物処分の費用の多くを削減できます。
いまの自店舗がどこでつまずいているかは、マップ集客の整備度チェック(無料・30秒)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
まとめ: 歯科医院の閉院費用は「デジタル資産の後始末」まで含めて考える
歯科医院の閉院費用は、原状回復・医療機器処分・行政手続き・カルテ保管に加え、Googleビジネスプロフィールなどデジタル資産の後始末まで含めて考える必要があります。金額は小さくても、放置すればAI検索の誤案内という形でトラブルに発展します。
まずは閉院準備の基本5ステップを確認し、ステップ5のデジタル資産の後始末を後回しにしないことから始めてください。承継という選択肢も含めて早めに方針を決めるほど、費用も手間も抑えられます。
歯科医院の集患全体を見直したい場合は歯科医院の集客方法もあわせてご確認ください。
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